土曜日。バッサノでは毎週マーケットが開かれます。
この日、二コラの友人の奥さんであり、私の友人でもあるモロッコ人のカディジャが私たちを拾ってくれるというので、一緒にお出かけすることにしました。
彼女は英語も話せるので、イタリアでの私の良き話し相手でもあります。
たくさん歩くかもしれないので、朝からガッツリ。コントラストがきつくて分かりにくいのですが、チャパティに豚のミンチ、トマト、ハーブ、キャベツなどを載せています。
色々な具材をラップサンドのように巻いてガブリ。あぁ、美味しすぎる。
彼女が到着するまでお家でまったり。イタリアに来て間もない頃は、迎えに来てもらうときは時間になると通りに出て待っていました。でもイタリア人は時間にルーズなので、次第にその習慣はなくなりました。
迎えに来てもらう立場ではありますが、寒い中外で待つのも何なので。
バッサノに着いたらいきなりコーヒータイム。
こちらがカディジャおすすめのバッサノで一番美味しいというカフェ。
確かにコーヒーはとても美味しかったです。自家焙煎の豆を使っているようで、香ばしい香りの広がる店内で頂くコーヒーは最高でした。
エスプレッソは小さなクッキーがついて1ユーロ。
小さな店内はお客さんの出入りが多く、忙しそうでした。
イタリアでは、カフェで長居する人は少なく、小さなカップに入ったエスプレッソを三口くらいで飲み切ってすぐに立ち去る人が多いです。
ミラノに滞在した時、地元の友人と二人でカウンターに立ってエスプレッソを注文し、出されたカップに素早く砂糖と入れてクイッと飲むのを始めてやった時、イタリアに来たという実感が増したのを覚えています。
このお店はカラフルな千鳥格子の椅子が可愛く、長居したくなる雰囲気もありましたが、10分くらいでおいとましました。
Magazzino Del Caffe
https://goo.gl/maps/mUDkLMjPDmQ2
この通りはマーケットの出店がずらりと並んでいるので土曜日の午前中は人でごった返します。
カフェのお向かいではチキンを売るワゴン。
野菜や果物を売るお店もたくさん。
でもどのお店もちょっと割高なんだとか。というわけでここでの買い物はなし。見て回るだけでも楽しかったです。
チーズ専門のワゴンがあるのはさすがイタリア
こちらはポーク系をたくさん扱うお惣菜屋さん。
お惣菜屋さんはイタリア語でガストロノミア、英語だとデリカテッセンでしたっけ。ラザニアなど、温かい料理があるので、今日はお料理したい気分じゃないなって時には重宝するみたいです。
カディジャは新婚の奥さんなので大変そうですね。
この日のお気に入りショットは靴下屋さんのテントの中から撮影した写真。それにしてもみんなサングラスがよくお似合いで。
奥のお店は、この町で最も古いパン屋さん。二コラのお姉さんが6年間パティシエとして働いたお店でもあります。
別の角度から。いかにもイタリア人といった感じのオサレなおじさんたちがいっぱい。石田純一が憧れていそうな感じです。
看板に書いてあるボッテガ・デル・パネは「パンの店」という意味です。
ベーカリーはイタリア語で「Pasticceria (パスティッチェリア)」ですが、パンの店って銘打っているのはオールドファッションな証拠。
日本だと、ベーカリーやブーランジェリーっていうとモダンな感じで、パン屋っていうとどこか懐かしい響きがありますよね。
ボッテガというのは「お店」という意味、人気ブランドのボッテガ・ヴェネタはつまり、「ヴェネトのお店」ですね。ヴェネト州で生まれた店ということで、分かりやすいですね。
ボッテガ・ヴェネトでないのは、ふたつの名詞の性別を合わせたから。と言っても、日本人からすると、?となってしまいますよね。
イタリア語を含むラテン語には、男性名詞と女性名詞 (と中性も少し) があって、その中でボッテガは女性名詞。男性名詞であるヴェネトと一緒にするととても変な響きというか、なんか気持ち悪いんだそう。
一般名詞であるボッテガは変えられないのでそのままに、固有名詞であるヴェネト州を女性名詞にして性別を合わせたため、ボッテガヴェネタとなったのだそう。
そもそも名詞に性別なんてない日本語話者からすると、名詞の性別を合わせた方が聞こえがいいなんて発想は突飛に感じますが、そんな文化の違いを知るのはいつも楽しいです。
一通り見まわってから、サン・フランチェスコ教会へ。
芝生がきれいな中庭
古い棺桶?
昔のお金持ちの家紋みたいなものが飾られています。
ちなみにこちらのライトのオブジェ、以前盗難に遭ったという話がありました。ですが実はそれはウソのニュースで、人々に探させようというイベントの一種。
数年前に、くまモンがトレードマークの赤丸ほっぺが無くなったので探してくれとピーポくんにすがっているのをワイドショーで見かけたことがありますが、あれは何かの企画だったのでしょうか。
結局どうなったのでしょうか。ピーポくんはよく見ると可愛いですね。
家紋がたくさん飾っていました。特に王家というわけではなく、単純にお金持ちの家紋らしいです。
家紋の下にはこういうのも展示されていました。
ここで、バッサノタワーに上るチケットを購入します。
この中庭の角にあるインフォメーションセンターで購入可能。ビジターは3ユーロ、バッサノ市民は無料です。
カディジャは夫のステファノと暮らしていますが、住民登録はまだバッサノのままなので、無料。
イタリア人の知人にこの話をすると、「私はイタリア人、彼女はモロッコ人、なのに私は有料で彼女は無料なの?」と文句を言っていました。もちろん笑い話です。
タワーの入り口はこちら。地図ではサン・フランチェスコ教会のすぐ向かいですが、入り口は狭い階段の先で分かりにくいです。「Sotto la Torre (タワーの下)」という名前のカフェと同じ入り口なので、目印にしてください。
場所はこちら
https://goo.gl/maps/CHncCpMVRLM2
先ほど支払った3ユーロのレシートが入場券になっています。タワーの中に入ったら受付の人にレシートを見せます。
まだここは3階くらいの場所。レンガ作りの屋根が広がります。
ここはタワーの時計がある位置の裏側。
ゼンマイ式だった頃は、毎日人力で巻いていたのですね。長い石は重りです。
このすぐ向こうが時計
ゼンマイの向こうにいる二コラとカディジャ。
最上階を目指してさらに上ります。天井が低く、身長187㎝の二コラは苦労していました。150㎝ほどの私たちにはちょうどいい高さ。「私たちはラッキーよね」と背の低いのを喜ぶ二人。
ここからもいい景色は見られましたが、まだ先まで上がることができます。鉄柱で補強してあるものの、大昔のらせん階段をそのまま残してあるのは素敵ですね。
最上階へ到着!安全のための柵はあるものの、建物に触れるたり、歩き回ることは自由にできます。
いい眺め。遠くまで見渡せます。
さっき歩いてきたマーケットのテントが小さく見えます。
柵があるので、隙間からのぞいたり写真を撮ったりします。
快晴で良かった。
360度見渡せて3ユーロはいいですね。夕暮れはカップルで賑わうという話も聞きますが、ハイシーズンを除けばそれほどでもなさそう。
そもそもあまり知名度が高くないですからね。
歴史ある街並みはしばらく眺めてても飽きない。
先ほどまでいた教会
土曜日の午前中だけ見られる光景。マーケットはこのあと撤収されます。
左側に見える工事現場は去年も同じ場所にありました。お金ばっかりかけてちっとも進まないのがイタリア。近くにあるポンテヴェキオも10数年前から工事中。
3人で記念撮影
お腹が空いたので下ります。
カディジャおすすめの伝統的なサンドイッチを出すお店。右はくるみとほうれん草とチーズ。
ローストビーフと玉ねぎのキャラメリゼを挟んだシリアルブレッド。
こちらはイスラム教で豚肉を食べないカディジャが注文したもの。ペスト (バジルペースト) にセミドライトマトやモッツァレッラチーズなどイタリアらしいサンドイッチ。
お店はこんな感じ。
店内はかなりコンパクトですがレトロな街のモダンなカフェという感じで素敵です。外の景色もヨーロッパの裏通りらしい落ち着いた雰囲気。
テーブルのタイルは風刺画。
サンドイッチはどれも美味しかったです。混んでいたのでパンが少し乾燥していたのが残念でした。
チーズとハムの盛り合わせを注文している人がいましたが、2人では食べきれない量で、残ったら持ち帰りできるようです。お隣がデリカテッセンで、そちらから運んでいるようでした。
https://goo.gl/maps/4UzxN3qnpbN2
食後はもちろんジェラート。
写真は撮っていませんが、バッサノへ行くと必ず立ち寄るジェラテリアです。地元民のカディジャもここが一番美味しいと絶賛。
私がいつも頼むのはダークチョコレートとピスタチオのコンビ。
ちゃんとピスタチオの味がするのはさすがイタリア。以前シドニーで食べたのはニセモノだったんだな。
https://goo.gl/maps/LTseTrN2sYU2
サンドイッチを食べたカフェのすぐそばです。
このあと、カディジャが行ったことのないCastello degli Ezzelini に。
静かで人も少ないので、ジェラート片手に入ってみるのもいいと思います。入場は無料です。
柿がたわわに実っています。イタリアでも柿はカキと言います。イタリア語にアルファベットのKは無いので正しくはcachiですが、 kakiと書いてあることも多いです。
ポンテヴェキオも見えます。前述のように長年に渡り工事を重ねているため、この距離から見てもガタついているのが分かりますね。
たまにここでコンサートが行われます。
カディジャは旦那さんの夕食の準備があるのでそろそろ帰る時間。ここは彼女たちが結婚式を挙げた場所。
この時間はお店はどこも閉まっています。個人経営のお店は、業種によりますが12時半~4時くらいは閉まっているところが多いです。シエスタタイムです。
バッサノで創業された高級万年筆のモンテグラッパを外からチラ見。1本2万~100万円くらい。高い高い。
さっきまでマーケットが開かれていた広場はお掃除中でした。
カフェもガラガラ。でもここのエスプレッソはおすすめです。美味しいですよ。
バッサノは古き良き風景を残す伝統ある町です。この町にある古民家をリノベーションして住む場合、50% (60%かも) の補助が受けられます。
国も伝統建築物を出来る限り保存したいのですね。
まぁ、私には縁のない話ですが・・・。