観光では⾏かないようなオーストラリアの⽥舎を体験。
その⼀つの⽅法が、ファーム・ジョブです。
ワーホリビザは通常1年間が期限ですが、ファームや⼯場で所定の季節労働を3か⽉⾏うと、セカンド・ビザと呼ばれる1年間の延⻑ビザを申請することができます(2019年2⽉現在)。
メルボルンで語学学校に通いながら5か⽉を過ごし、もっとゆっくりと時間をかけてオーストラリアを⾒てみたいと思った私は、セカンド・ビザの取得に向け、ファームで仕事をすることにしました。
中には悪徳ファームもある。
ビザの申請要件もややこしい。
ワーカーも無知ではいられない……。
そんなファーム・ジョブについて、私の体験をもとに、
- どうやってファームを探すのか。
- セカンド・ビザの申請はどのように⾏うのか。
- ファーム・ジョブはそもそもどんなことをするのか。
などについて、ご紹介します。
やってみるとファーム・ジョブはとても楽しく、私はセカンド・ビザを無事取得できたあとも、また別のファームで仕事を続けていました。
ビザ取得のための労働、というだけではもったいない。
オーストラリアを楽しむ⼀つの形として、ファームでの体験をご紹介したいと思います。
悪徳ファームを⾒抜けるか!?ファーム探しの⽅法
1.ハーベスト・ガイドでイメージをつかむ
まずは、どのようにファームを探すのか。
インターネットの掲⽰板に掲載されている求⼈情報を⾒て応募したり、友⼈知⼈からの紹介でオーナーと連絡をとったりと、仕事を得るには様々な⼿段があります。
履歴書を書く必要はなく、バッパーやシェアハウスなどの宿泊施設をファームが⽤意している場合がほとんどですので、ウエイトレスなどのシティ・ジョブよりも⽣活の基盤づくりが楽であるともいえます。
そもそもどのエリアにどんなファーム・ジョブがあるのかを知りたければ、ハーベスト・ガイドを⾒るのがいいでしょう(https://jobsearch.gov.au/harvestよりダウンロード可能です)。
オーストラリアは国⼟が広い。
東⻄南北で気候が違うため、たとえばビクトリア州で仕事が⾒つからなくても、クイーンズランド州では⾒つかる、ということはままあります。
ハーベスト・ガイドを⾒ると、どの作物がどこでいつシーズンを迎えるのかがわかり、「この地域では来⽉あたりからトマトの収穫の仕事がありそうだ。稼げるかもしれない」など、ファーム探しのヒントになります。
いくらファームが集まる地域でも、その作物がシーズンを迎えていなければ仕事は少なく、特に冬場は働けない⽇が多くなってしまう可能性があります。
具体的な求⼈情報は次に挙げる様々な⽅法で⾒ていくことになりますが、ハーベスト・ガイドは、ファーム探しの予備知識として活⽤できます。
「少し待てばこの近くでグレープの収穫が始まりそうだ」などの⽬安が前もってわかれば、⼤きな移動をしないで仕事を得ることができるかもしれません。
2.求⼈情報を調べる
ハーベスト・ガイドでイメージをつかんだら、求⼈情報をみてみましょう。
すると常にどこかの地域で、何かしらの募集があるのがわかります。
が、中には、悪徳ファームがあるのも事実。
何をもって悪徳というのかはそれぞれですが、ここでは給料が⽀払われない、セカンド・ビザ申請に必要な書類を発⾏しない、などのワーカーにとって致命的な状況をさすことにします。
そんなファームは避けたいものですが、これがなかなか、⾏ってみないとわからない……。
バンダバーグ、カブルチャー、ミルデューラなどの地域は悪徳ファームが多いという評判ですが、それらのファームで働いていた⼈に話をきくと、
「⾃分のいたカブルチャーのイチゴファームはけっこう稼げたし、セカンド・ビザ申請の書類もちゃんともらえた」
「バンダバーグは悪徳が多いという評判だけど、⽳場のファームがある」
などと⾔っていました。
実際私がいたミルデューラ近辺のファームも、問題がまったくないというわけではありませんでしたが、給料の⽀払いや⼿続きの⾯ではしっかりしていました。
同じミルデューラでも、ビザの書類はおろか、給与さえ⽀払われなくて辞めたという⼈もいましたので、⼀概にどの地域が安全・危険ということも⾔えません。
さらにいうと、オーストラリアではスーパー・アニュエーション(積⽴型の年⾦。帰国するとき⼀部返還請求可能)もあるので、年⾦積⽴てをきちんとしてくれるファームが、パーフェクトだといえますが……これもファームによりさまざまでした。
以下にファームの探し⽅を挙げますが、それぞれメリット・デメリットがありますので、複数の⼿段であたってみるといいでしょう。
インターネットの掲⽰板で探す
⼀番⼿っ取り早くて情報量も多いのが、インターネットの掲⽰板で求⼈情報を⾒る、という⼿段です。代表的なのは、この2つ。
- ⽇豪プレス
→⽇本語で仕事・住居などを検索できる、オーストラリアでワーホリをするにあたって情報量が最も多く便利なサイトです。 - gum tree
→英語で仕事の検索ができます。英語環境を求めるなら、こちらのほうがいいかも。
また、フェイスブックにもファーム情報はあがってきます。例⽰すると、
などがあります。
この他にも、パース通信など特定地域に特化したサイト
もあります。
ただし、書かれている情報には要注意。
複数の作物をあつかっているファームでは、たとえば「時給のアスパラガス・ピッカー募集」と募集要項に書きつつ、実際はアスパラガスのシーズンが始まるまでは別の作物のピッキングを歩合でやらせる、ということも。
また、「ストロベリーピッキング、1トレイあたり◯ドル」と書いておきながら、実際はそれは最⾼⾦額で、品種や時期によって、より低い⾦額で⽀払われる、ということもあります。
実際に私が働いていたイチゴファームではそのようなことがあり、募集要項よりも低い単価で給料が⽀払われていました。
1⽇11時間働いても、100ドルももらえなかった。
⽇本の最低賃⾦をぐっと割るような⾦額になっており、これじゃやってられない! と、そこはすぐに退去することに決めました。
知り合いに紹介してもらう
「私はあのファームでこのくらい稼げたし、セカンド・ビザも無事おりた」
という⽣の情報はとても貴重です。
特にセカンド・ビザをとれるかどうかは⼤事なところ。
ビザ申請には3か⽉(88⽇)以上の労働が必要ですので、⽇数のカウントをきちんとしてくれるかどうかが重要です。
私が⼆番⽬に働いたファームは、「シェアメイトの友達の友達」から紹介してもらいました。
知り合いづてだと実際の話も聞けますし、インターネットで⾒知らぬ⼈とやりとりするよりも信⽤がおけます。
「⾏ってみないとわからない」という危険を、少し減らせるのではないかと思います。
ファーム・ジョブをしている⼈はけっこういますので、語学学校などでもきいてみるとよいでしょう。
私も通っていた語学学校のスタッフに、ファーム・ジョブをしている卒業⽣を紹介してもらったことがあります。
⼤型のファームはインターネットの掲⽰板をつかい、数⼗⼈単位の求⼈を出すこともありますが、⼩規模なファームはネット上で求⼈を出さず、ワーカーの友⼈知⼈で引き継いでまわしていくことも。
周囲に「ファーム・ジョブを探している」と⾔っておけば、ワーホリ同⼠、情報が集まってきますし、早めにそう伝えておいて⽣の情報を集めることをおすすめします。
エージェントを通して申し込む
ファームジョブの紹介をしているエージェントは、多くはありません。
私はメルボルンでファームを探しているときに、たまたま⽇系のエージェントがファームを紹介していると知り、オフィスに話を聞きにいきました。
そこは1つのファームと提携しており、紹介料 150 ドルを払えば、ファームに連絡し受け⼊れ準備をしてくれるというもの。
紹介料がさほど⾼くなかったことと、初めてのファーム探しに難航していたため、このエージェントに紹介してもらうことに決めました。
そのファームはフェイスブックでも求⼈を出していたので、紹介料を払わずとも働けたのですが、あらかじめそのファームがどんなところか話をきけたことや、何かあれば⽇本語で質問できたということはメリットでした。
外国のエージェントがファームを紹介している例もあります。
私の語学学校のクラスメイトのイタリア⼈⼥性が働いていた、イタリア系の留学エージェントでは、丸3か⽉の宿泊費・⽣活費込みのパッケージで、ファームの紹介をしていました。
どちらかというと、ファーム・ジョブそのものより、ワーカー同⼠の交流に重点が置かれていたように思います。
値段は1,000ドル以上。
そして英語のレベルに要件があり、語学学校の upper intermediate クラス(中上級)以上でなくては応募できませんでした。
初期費⽤がかかる、つまりそのファームが合わなくても途中で抜けられないということはひっかかりましたが、ちゃんと期間を終えれば⽣活費も損をしない仕組み。
外国のワーカーと交流したかったということもあり、ためしに問い合わせをしてみました。
あいにく空きがなかったことから実現しませんでしたが、英語環境で仕事をしたい⼈は、このような外国のエージェントのものや、パッケージ化されたファーム・ジョブも検討できるのではないかと思います。
バッパーで紹介してもらう
バッパーやシェアハウスに滞在し、そこから時期に応じて近くのファームに派遣される、というかたちもあります。
私はこの種の仕組みで働いた経験はありませんが、話をきくと、稼げるファームで⻑時間働けたという⼈もいれば、仕事がもらえるまで待機期間があったという⼈も。
また、ユースホステルの掲⽰板にワーカー募集の貼り紙があったのを⾒かけたこともありますので、常にアンテナをはっておくといいでしょう。
このように、ファーム・ジョブの探し⽅は何通りもありますので、時期や場所を選ばなければ、常に何かしらの仕事を⾒つけることができます。
しかし、「そもそも私にファームでの仕事ができるんだろうか……」といった不安がある⼈もいるのでは。
次回はそうした⼼配についてや、ファームで稼げる⼈・稼げない⼈の傾向を、私の体験をもとにお伝えしたいと思います。
どのようにセカンド・ビザを申請したかについても、⼀緒にご紹介するつもりです。
(ライター:NAO)