前回の記事では、ファーム探しの⽅法、ファーム⽣活の向き・不向きについてご紹介しました。
ではその後無事にファーム・ジョブを続けられたとして、どのようにしてセカンド・ビザを申請するのでしょう。
申請するに当たって注意すべきこと、そしてついでに、ビザ申請に関連して、留学エージェントについても私の体験をお話ししたいと思います。
要注意! セカンド・ビザの申請要件
セカンド・ビザの申請には、いくつか要件があります。
詳しくはこちらの記事を参照していただければと思いますが、⼤事なのは次の2つです。
- ビザ申請時に31歳未満であること
- オーストラリア指定の場所で3か⽉もしくは88⽇以上の季節労働に従事した証明書を持っていること
「季節労働に従事した証明書」とは、「Form1263」という、ファーム・ジョブの内容やファームの情報が書かれた書類で、ファームを出る際に紙や PDF などでもらえます。
ここに書かれた情報を、セカンド・ビザ申請時に打ち込むわけです。
複数のファームを転々としていると、申請時の必要情報の打ち込みや、追加書類を求められた際の⼿続きが、それだけかさむことになります。
ですので、頻繁にファームを移動するよりも、ある程度の期間1つのファームで働いた⽅が、申請は楽であるといえます。
⽇数のカウントに関しては、「悪天候などファームの都合でデイオフ(休み)になった⽇は、労働したというカウントにする」「3か⽉以上滞在したら、⼟⽇も労働したというカウントにする」など、ファームによって計算⽅法は異なります。
⽇数に余裕がない⼈は、その点もファームに確認しておくとよいかもしれません。
⽇数計算において⼤事なのは、
ビザが切れるまでの⽇程に余裕をもつこと=早めにファーム・ジョブをはじめること
これにつきると思います。
たとえば31歳の誕⽣⽇までにセカンド・ビザが取得できるよう逆算し、ギリギリのタイミングでファーム・ジョブをはじめてしまうと、天候が悪く働けない⽇ができてしまった場合や、⾃分が病気になった場合などに対応できません。
ファームが書類上融通をきかせてくれるところもありますが、あてにはできませんし、書類が不確かなファームは、移⺠局から⽬をつけられるという話もききます。
それに、追加書類を求められた場合に、給与明細に書かれた労働⽇数と払われた給料が極端に⾒合っていないなどの齟齬があると、不信感を招くことにもなりかねません。
私は2つのファームに2か⽉ずつ滞在し、計100⽇のカウントで申請しました。
それは、ファースト・ビザが切れる約2か⽉前のタイミングでした。
申請時期も労働⽇数も、安全策をとって、ゆとりをもって申請したといえます。
⼀⽅、セカンド・ビザを取得しようと決めたタイミングが遅く、31歳の誕⽣⽇ぎりぎりで労働⽇数88⽇をクリアする⾒込みだった友⼈は、天候不良でのデイオフがあるたびにやきもきすることとなり、ファームと⽇数計算の交渉をしたりと、常に綱渡りの状態でした。
また、ビザ申請書類をくれないような悪徳ファームにあたってしまった場合、また別のファーム・ジョブを⾒つけなくてはなりません。
それがファーム・ジョブが⾒つけにくい冬場であれば、さらに時間がかかってしまうかもしれません。
場所と季節を選んで、なるべくゆとりをもって申請することをおすすめします。
セカンド・ビザ申請時に必要なもの
では、いよいよセカンド・ビザの申請です。
ファースト・ビザ同様、セカンド・ビザの申請もオンラインで⾏います。
打ち込む内容は、
基本情報(⽒名、住所、ビザナンバー、パスポート情報など)
ファースト・ビザ申請時と共通する内容が多いものの、パスポートやファーストビザ発⾏書類などを参照しなくてはならないので、それらを⼿元に⽤意するか、メモしておきましょう。
働いたファームの情報(仕事の開始⽇・終了⽇、ファームの郵便番号など)
ファームでもらった書類(Form1263)を参照して打ち込みます。
病気、犯罪歴、渡航歴などの各種質問
Yes・No で答えるものがほとんどで、これも、ファースト・ビザ申請時と共通しています。
クレジットカード情報
申請にかかるお⾦は、450ドル(2018年9⽉現在)。それに少額の⼿数料がかかります。
また、申請はスムーズにできればさほど時間はかかりませんが、パスポートやビザ発⾏書類、ファームからの書類など参照すべき情報が多いため、あらかじめマニュアルなどで記⼊内容をチェックしておき、必要な情報をまとめておくとよいでしょう。
⼿がかりなしで英語の質問を⼀から読み込んでいくと、かなりの時間がかかってしまいます。
できる範囲で事前準備をし、申請はさっと終わらせてしまうのが、楽な⽅法だと思います。
申請後、移⺠局から追加書類の提出を求められることもあります。
これは、きちんと申請しても起こりうることなので、申請時にミスがあったというわけではありません。
追加書類の内容は、Form1263、銀⾏の出⼊⾦明細書(Bank statement。銀⾏でもらえます)、給料明細(Pay slip。ファームから給与の⽀払いごとに送られてきます)などです。
そのほか⾃分の名前が⼊ったバスのチケットなど、そのファームにいたという証明になりそうなものは、なるべく保管しておきましょう。
さて、そのように準備していざ申請をするわけですが、準備をしてもなかなか緊張するものです。
私は2つ⽬のファームでビザ申請要件88⽇分以上のデイ・カウントを得たあと、次のファームに移動するまでの短期間にオーストラリア南部を観光し、その間に申請を⾏いました。
Wi-Fiが安定して通じる図書館で、⾃分のiPadを開く。
ファームからもらった書類と、留学エージェントからもらったマニュアルを並べ、いざとりかかる。
地道に情報を打ち込んでいきます。
私の場合、渡航歴(過去5年以内に3か⽉以上外国に滞在していたか、という質問にYesと答えた場合)の記⼊に時間がかかりました。
というのも私は前年に世界⼀周旅⾏をしており、そのとき訪れた20か国以上の国名と滞在時期を、ファースト・ビザ申請時同様、またしても打ち込むはめになりました。
もし渡航歴が複数ある⼈は、ファースト・ビザ申請時の記録を印刷し、参照できるようにしておくとよいでしょう。
また、ファースト・ビザ申請時には、おそらく渡航歴がひっかかったのでしょう、健康診断をせよとの通知がきてしまい、受診することになりました。
セカンド・ビザ申請時、「過去12か⽉以内に移⺠局が指定する健康診断を受けたか」という質問があり、「ああ〜…また健康診断を受けなくてはならないんだろうか。めんどうだ」と内⼼⾆打ちしつつ「Yes」と答えました。
(その際 HAP ID という番号を記⼊しなくてはならないため、健康診断を受診している⼈は、健康診断受診時の書類を⾒て HAP ID をひかえておくとよいでしょう。これはあくまでオーストラリア移⺠局が指定した健康診断のことですので、⽇本の会社などで受ける健康診断は関係ありません。)
で、「いろいろひっかかるんじゃないか。追加書類を求められるんじゃないか」とどきどきしながら送信ボタンをクリック。
するとすぐにメールがきて、なんと、セカンド・ビザが、⽂字通り⼀瞬でおりました。追加書類も健康診断もなし。
拍⼦抜けしたものです。
まわりの友⼈を⾒てみると、同じファームにいても追加書類を求められた⼈もいればそうでない⼈もいて、その基準はよくわかりません。
どのような状況でも対応できるよう、書類の保存をしっかりしておくとよいでしょう。
エージェント選び
先ほど、「ビザ申請はエージェントからもらったマニュアルを⾒ておこなった」と書きましたが、では、どのようなエージェントを選べばいいのでしょう。
海外留学・ワーホリに関しては、有料のエージェントもあれば、無料のエージェントもあります。
渡航前後のカウンセリング、語学学校の紹介、海外保険、現地での銀⾏開設や⼿続きサポートなどが、その主なサービス内容といえましょう。
ある⼤⼿有料エージェントに申し込んだシェアメイトから話をきくと、私が申し込んだ無料エージェントと、現地でのサービスの内容は⼤きく変わらないように⾒えました。
しかし彼⼥は「安⼼料としてお⾦を払っているのだ、だからいいのだ」と⾔っていましたし、留学フェアでじっくりと話を聞けたのも、渡航前カウンセリングの内容もよかったようです。
また、エージェントにセカンド・ビザ申請の⼿続きそのものを依頼している⼈もいましたし、⼿続き⾯で不安な⼈は、そうしたサービスのあるエージェントを選べばよいでしょう。
反対にエージェントに申し込まず、全てを独⼒で調べてクリアしている⼈もいます。
エージェントに申し込むのであれば、⾃分のスタンスに合うところを探し、有料でも無料でも、納得して申し込むのがよいと思います。
また、申し込まないのであれば、すでに申請を終えた⼈から話をきくなど、情報収集をしっかりとしておく必要があります。
海外が初めてで何もかも不安! という⼈もいれば、海外には慣れているけどワーホリは初めてだという⼈、すでに他の国でワーホリをしている⼈もいます。
当然、求めるサービスは異なるでしょう。
語学学校やホームステイ先の紹介も、どれだけこだわるかはそれぞれです。
ですので、エージェントに申し込むかどうかはさておき、説明会にいくつか参加してみることをおすすめします。
情報も⼊りますし、実際にスタッフに会って質問できる機会は貴重です。
私は無料エージェントの説明会に2か所参加し、留学ドットコムを選んだのですが、それは
「私はある程度海外には慣れているので、⼿取り⾜取りやってくれなくていい。申請も登録も、⾃分でできることは⾃分でやる。だけど⼿続きのやり⽅は教えてほしいし、困ったときには助けてほしい。そして、なるべく費⽤がかからない、実際的なワーホリの仕⽅を教えてほしい」
という私の希望に同社のサービスが合っているように思ったから。
事実、マニュアルや情報をもらい、それをもとに⾃分で⾏動し、わからなかったらメールやオフィスで質問する、という流れを繰り返し、無事ビザを取得できました。
ビザ申請だけでなく、オーストラリアで仕事をするのに必要なタックス・ファイル・ナンバー(TFN)や、在留届のオンライン申請、⽇本⼈のいる銀⾏の⽀店、⽇系の携帯電話会社の紹介など、現地でのサポートはありがたかった。
⾃⼒で調べるのはいかにも⾯倒くさそうなこれらの⼿続きについて、マニュアルや情報をもらえたおかげで、ワーホリ⽣活をスムーズに開始できたというのは事実です。
予算もこだわりも、⼈によってそれぞれ違うでしょう。
それにファーム同様、何もかも完璧に⽤意してくれるエージェントもありません。
⾃分に何が必要かを考え、⾃分に合ったエージェントを選ぶ。
ワーホリだけではなく、留学、旅全般に⾔えることですが、しっかりと⾃⽴しつつ、エージェントや保険などをうまく使って、⾃分ならではの海外⽣活を組み⽴てていくのが肝要なのだと思います。
(ライター:NAO)