今回は、美しい大自然の写真をたくさん掲載しようと思います。
「最も美しい景色」のひとつにも選ばれたドロミテ山脈。
二コラとそのお友達と共に本気のトレッキングツアーをしてきました。
二コラの長年の友人であるロレンツォとミリーをお誘い。
こっちから誘っておいて何ですが、車はロレンツォに出してもらうことに。
車を持たない私たちは、食料調達や料理など、できることで協力。
当日はロレンツォが車で迎えに来てくれました。
登山口までは車で一時間ほど。前日作ってしっかり冷やしておいたサラダごはんをみんなで食べて腹ごしらえします。
ビーサンしか持っていない私はミリーのスニーカーを借りることに。偶然にもサイズがぴったり。
いきなりの長時間トレッキングに借り物の靴は正直不安でしたが、100均のビーサンを履いていくわけにもいかず、ありがたく拝借。
二コラのお友達ロレンツォとミリー。
そしてミリーの相棒リロ。
4人と1匹、2泊3日のトレッキングツアーです。
この時はスタートしたばかりなのでみんな余裕の表情。
このあと死にそうな顔になります (私だけが) 。
ミリーは18歳の女の子で、パイロットを目指して勉強中。
少し英語を話せるので、私の話し相手になってくれました。
アルゼンチンから移住してきてこちらで育ったのだそう。
親友のリロはとっても賢くて愛らしいわんこ。
ロレンツォは英語は話さないけど、終始気を使ってくれました。
めちゃくちゃいい人たちです。
こんなふうにちょうちょを撮っていられるのも最初だけ。すぐにバテてきます (私だけが) 。
清流のそばに来るとひんやりとした空気が満ちていて、とっても心地よい。
とりあえず最初の休憩ポイントへ到着。
ここまでで一時間くらい。
ずっと登りだったのでキツかったのですが、木陰が多く風が心地よかったです。
休憩ポイントの景色。
ため息しか出ないような美しさです。
アルプスの少女ハイジに出てきそうな・・・
よく考えたら、アルプス山脈ともそう遠くないんだった。
川の水はキンキンに冷たくて、ほてった顔を一気に冷ましてくれました。
早速着替える二コラ。
体を冷やさないため、汗で濡れた服を着替えるのは大事なことらしいです。はしゃぐリロ。
この子は本当に可愛い。
休憩の間、買ってきた果物をビニール袋に入れ、川の水で冷やします。
杉が岩の上に鎮座しています。
見渡す限りの緑。休憩直後で、ここからはほぼ平坦な道と聞いて、余裕が出る私。
もうすぐ到着。
そして到着。ここが今夜の宿。誰もいない山小屋です。
湧き水も豊富。絶え間なく流れています。
これがまた冷たいんです。
知覚過敏なのですぐには飲めないのがツライところ。
ご飯がここで食べられるよう、ベンチテーブルまで設置してあります。
イタリアには、このような無料施設がたくさんあり、誰でも気軽に使えます。
夏休み期間は登山者が多いので別のグループとシェアすることもありますが、この日は私たちだけでした。
周辺の景色はこんな感じ。
私たちが歩いた道。
放し飼いにされているロバたちが草を食みに来ています。
動物との触れ合い。
遠ざかる人の姿。
とってもきれいな花を見つけました。
人差し指よりもずっとずっと小さな花ですが、花びらをたくさん付けてきてなんとも可憐です。
山の上は冷えるので、早めに火を起こして暖を取る準備。お湯を沸かしてインスタントのリゾットを作ります。
ちゃんと煙突から煙が出てることを確認。
煙突が詰まっていると一酸化炭素中毒になってしまいます。
夕方の柔らかい日差しが気持ちいい。
この後ベンチで眠りこけてしまいました。ロバたちが首に着けているベルの優しい音で目覚めました。
ロバたちは私たちが通ってきた道を並んで歩いていきました。
もうここはすっかり陽が落ちてしまいましたが、向こうの山のてっぺんにはまだ、西日が差しています。
この後、小屋の中に入り、寒くないよう二重扉をきっちり閉め、日を焚いたまま就寝。
朝までポカポカでした。
ライトが無かったので写真は撮れず。
朝。とてつもなく寒いのですが、キリっと清々しい空気を胸いっぱい吸い込むと、それはそれは爽やかな気分に。
持ってきたゆで卵を食べながら朝の光を浴びます。
早朝でも、日が当たるとすぐに温まります。やっぱり高山、日差しは強いです。
ロバたちもやってきました。ここが彼らの縄張りなんですね。
夕方帰宅して、朝にはまた同じ道を通って同じ場所へ。
昨日の休憩地点に戻ってきました。今日はこの道を進みます。
山の向こう側に行くというけど、この先、どこをどう上るというのか・・・。
道なき道に早くも不安がよぎります。しかし付いていくしかありません。
日差し・・・キツイ・・・・。
岩だらけで足場が悪く、踏み外しやすい道。
みんな早いなぁ・・・。
途中、私の希望で休憩。足手まといでごめんなさい。
ミリーが私の手よりも大きなクオーツを見つけて見せてくれました。
大きくて結晶の形がきれいで、持って帰りたいくらいでしたが、この後のことを考えるととても重そうなクオーツを持って帰ることなどできませんでした。
写真だけでも撮っておけばよかったのに、よほど疲れていたようで、それすら忘れていました。
開けた場所に出てきました。
てっぺんの大きな岩の向こう側に行くのだそう。よし、頑張るぞ。
反対側の景色。よくここまで歩いてきたなぁ。
自分を褒めてあげたいというほどでもないけど、自分にしては頑張ったぞ。
道標。この右側から頂上を越えます。
みんなペースを落とすことなく歩いて行きます。
景色は本当に素晴らしいです。
日陰は体力を消耗しにくいので、ここはちょっと頑張りどころ。
待っていてくれた二コラ。
けっこう勾配がきつくなってきて危険なポイント
け・・・険しい・・・。
頂上に行くにつれて、草が無く石ころだらけなので滑る滑る。
大きなバックパックに慣れていないので、バランスが取りにくく、背中から転げ落ちそうでした。
ランチ休憩。
持参したパンとチーズ、ハムでサンドイッチを作りました。
この他にもドライフルーツやらチョコレートをけっこう買い込んでいたのでカロリー補給はバッチリ。
反対側。どこまでも続く雄大な山脈。
相棒のバックパックと景色。ちょっとボケてて残念。
地上何メートルくらいだろう。
再び道標。でも私たちの目的地は書かれていない。
湖が見えてきました。
ここでなんと先を歩く3人+リロが猛ダッシュ。
なんだなんだとつられて私もダッシュ。
遅れをとりながらもよたよた走っていると、リロが戻ってきて、私を先導するかのように振り返りながら走ってくれた。
この子は本当に賢い子だ。
湖の前で考え込むような二コラ。
この時の私は呑気に写真を撮っているけども、この後ショックを受けます。
二コラとロレンツォが地図を広げて何か話しこんでいます。
どうせ聞いても分からないので、呑気に休憩。
地図を畳んだ二コラが一言。
「道を間違えた。」
「道 を 間 違 え た。」
う・・・うそだろぉ・・・。
今3人揃ってダッシュしてたのは何だったの。
こんな足元悪い下り坂をダッシュして、モモ筋プルプルしてるのに・・。
せっかく下った山を、別の頂上目指して再び登ります。
てっぺんに4人組くらいのパーティを見かけ、先を越されたら今夜寝る場所が無い私たちは大急ぎ。
途中、地すべりしそうな急な砂地に差し掛かったところで、私が限界。
ロレンツォとミリーが先に行って場所を確保しておいてくれることになりました。
危険な砂地を避けるには、背の高い草が生い茂る、より急な坂道を登らなければなりません。
草につかまりながらなんとか登りきり、最後は一人取り残されながらも到着。
キツかったー!
原っぱの向こうに見えるのが今夜の小屋。
Bivaco Algentino です。
この小屋は有志の人たちによる寄付やメンテナンスにより、とても快適に保たれています。
ちなみに先に見えた人達は日帰りトレッカー。
宿泊はせず、日が落ちる前に帰るのだとか。
壁に沿って3段ベッドがあります。
1段に2人が縦に並んで眠れるようになっています。
合計6人が寝られる大容量。ベッドにはブランケットも用意されておりとても快適。
ミリーがわんこのリロと下の段に、私と二コラが頭を突き合わせるように一列になって中段に、ロレンツォが一人で上段に寝ることに。
暖炉は使いやすく上に鍋を置くことができます。
さらにエスプレッソを淹れられるモカとコーヒー豆、お砂糖まであります。
こんなに至れり尽くせりな山小屋があるのかと感心してしまいました。
薪も暖炉の横にスタンバイされていました。
薪は余るほど用意されているんですが、どうしてもやってみたくて初挑戦。薪割りです。
先に木に食い込ませておくと割りやすい。
標高2,159メートル。当たり前ですが空気の薄さは感じません。
夕焼けの空。赤と青の境界線が美しいです。
山の反対側。あの山の向こうに太陽が沈みました。
iPhoneでは暗がりをうまく撮影できなかったのですが、街の灯りがむしろ幻想的に見えました。
夜11時頃。ふと目が覚めて外に出ると、大きなレッドムーンが。
光の波長の関係で、月が低い位置にあるわずかな時間だけ赤く見えます。
高く昇る頃には見慣れた黄色に。
高い建物が多い都会ではなかなか見ることができません。
目の覚めるようなきれいな赤色でした。
朝。ぼんやりと赤みの差す空。
まだ日が昇るまで時間があります。
霞のかかった空を見下ろしていると、気分は仙人。
西側の山の一角がオレンジに染まり出しました。麓の町はまだ夜明け前。
私が立っている場所も、実はまだ夜明け前。
鳥は早起き。元気にカメラの前を横切って行きました。
町も朝もやの中から少しずつ姿を現します。
雲と山が重なり合って、水墨画のような遠近感を醸し出しています。
光の帯が幅を広げてきました。気持ちの良い朝がやってきます。
町はまだベールを纏ったままですが、山間から差し込んだ光を一足先に浴びているエリアが浮かび上がって見えます。
一秒ごとに明るくなり、モヤに反射した光が、こちらに流れ込んでくるようです。
背の高い山の際から、ようやく太陽がお目見えです。眩しい!
小屋にもようやく日が差し、くっきりとした陰影。日の出の直後から日向と日陰の気温差が大きすぎて、じっとしていられません。
日が昇っても幻想的な美しさ。
町も完全に夜が明けて、きっと多くの人が活動を始めている頃。
光の環・・・ずっと見ていたいくらいきれいでした。でも、そろそろ出発の準備!
最後に山小屋を下から撮影。右にはベンチテーブル。
さようならビバコアルゼンティーノ。またいつかの夏に。
まだ朝の8時くらいなんですが、すでに日が高く、チリチリと首の後ろを攻撃してきます。この晴天だから仕方ない。
この景色を目に焼き付けておこう。
この数字を見てベトナムのビールを思い出した私。相当の酒好きと思いきや下戸中の下戸。
牧場発見。
ちょうど通り道に牛が・・・。
めっちゃ見てくる。不気味でしたがなんとか通過。
この小屋の前にあるベンチを借りてランチ休憩。
この辺りではこういうのが典型的なスタイルの山小屋らしいです。
立派ですね。個人所有なので当然泊まることはできません。
これは何だと思いますか?
小枝がまん丸に固まっています。
大きすぎて引きで撮れませんでしたが、手の平と比べてかなりの大きさということはお分かりいただけると思います。
実はこれ、アリの巣。
しかも山にしか生息しない種類の蟻で、ポンポンと叩くと興奮して酸性の気体を放出します。
敵を撃退するための物質らしいのですが、この強い酸性の気体が気管の健康にいいのだとか。
3人ともポンポンと強めに叩いてしばらく手をかざし、それから手を顔の前に持ってきては顔をしかめながらむせ返っています。
私も試してみると、叩いた瞬間にひんやりとした空気が上がってくるのを感じます。
手のにおいを嗅いでみると、お酢の原液のような刺激臭がし、同じようにむせてしまいました。
なぜこれが気管にいいのか不明ですが、自然って奥が深いですね。
変わった形の花。
町に近づいてきました。
この後、前を歩いていたミリーと、一緒に歩いていたリロが、突然狂ったようにバタバタと走り出したました。
ミリーがハチの巣にぶつかったとかでハチが一斉に飛び出してきたようです。
私は何が起こったのか分からず、歩いて後を追いました。
結果それが良かったようで、暴れた2人は何か所も刺されていました。
私も一か所刺されましたが。
翌日からどんどん腫れてきて、とうとうクリームパンのようにぷっくり膨らんでしまいました。
完全に収まるまで5日くらいかかりました。
下山して、町まで向かう途中に昔ながらのカフェがあります。
そこには食料貯蔵庫があり、西洋独特のものだったので撮影してみました。
大量のチーズ。試食もできます。
チーズ祭り。
こちらはなんと530㎏のチーズ。
切り分けるのも大変そうです。
ワインとハムも貯蔵してあります。
室内はひんやりしていて気持ちのいい温度でした。
モモ肉もどっさり。
画像が荒いのですが、雰囲気は伝わるでしょうか。
イタリア2泊3日の登山ツアー、心に残る素晴らしい体験でした。
山は目に見える以上に大きく、登山初心者にはなかなか厳しいものがありました。
その中でも木陰や川での休憩タイムは清々しい空気に包まれて、幸せすら感じました。
最高の思い出をありがとう、ドロミテ山脈!
今回私たちが立ち寄ったのはこちらのスーパー
写真はGooglemapのストリートビューからお借りしています。
ちょっと分かりにくいのですが、駐車場から薬局を右に見ながら進むとすぐに見つかります。
ガラス張りではないので見落としやすいかもしれません。
一応、ここは町の中心部。
周辺には複数スーパーがありますので、「スーぺルメルカート?」と聞けば何かしら見つかると思います。
こちらでパンやハム、チーズに、インスタントのマカロニスープやリゾットなど、軽くて体が温まりやすいものを中心に買い出し。
その後、登山口へさらに車を走らせます。
https://goo.gl/maps/3WQ2nRidzGB2
この辺りに無料の駐車場があります。
そして、今回登った山
https://goo.gl/maps/ocuH54czJK12
LAGORAIという村にある山脈の一部です。駐車場で車を停め、家で作って来たごはんのサラダを頂きます。
1日目に泊まった山小屋
CASERA DEL CACCIATORE
2日目に泊まった山小屋
RIFUGIO ARGENTINO
道なき道を歩いたので、Googlemapでは明確な場所が表示されませんが、案内板に従って進むことができます。