イポーはおいしいご飯に事欠かない、マレーシアの中でも長期滞在に向いている街だと思います。
少し足を伸ばせば豊かな自然に触れることもできます。
勝手知ったるイポーから出て、今日は日帰りバス旅行です。
クアラカンサーは、イポーから北西におよそ50㎞離れた町。
あらかじめ得ていた情報はふたつ。あとは行き当たりばったりのデイトリップ。
出発地するバス停は、メダンキッド。ここから各地への直行バスが運行しています。
クアラカンサー行きの時刻表。窓口のおじさん (写真左下) に聞くと、8:50と書いたメモを出されました。
この時刻表意味ないんだね。まぁ15~20分毎に来るのなら問題なし。
ここで待っているように言われたのでベンチに腰かけていると、3分ほどでバスが到着。
乗客が乗り込んだらすぐに出発しました。
クアラカンサーまでは片道6,2リンギット (約180円) 。
ちゃんとレシートで出てくるとなんだか安心します。
マレーシアでは基本、ボッタクリがほとんどありません (インド系のレストランだとたま~にある) 。
それも安心して旅行できる理由のひとつ。
途中に見えたモスク。
終点のバスターミナルまでいくつもりでしたが、GPSで現在地を見ると、お目当てのポイントの目の前だったため、他の人たちに付いていくように終点手前の停留所で降りました。
お目当てはこの木。マレーシア最古のゴムの木です。
う~ん・・・・・。絵ヅラが地味。
立派だし、歴史ある木だってことも分かってるんだけど・・・・
うん、地味。知らない人からしたら何の変哲もない木ですもんね。東南アジアではこの数倍クラスの木がわんさかだから。
これはゴムを製品化する器具。これ自体もまあ割とよく見かけます。
こんな地味な絵で申し訳ありません。
写真だけだと興味も湧かないと思いますので少し説明させて下さい。
ゴムの木に隠されたマレーシアの歴史
元々ゴムの木はブラジルに自生していたのですが、これを加工したものが消しゴムやタイヤなどに利用され始めると、金になると踏んだイギリス人が押し寄せるように。
無計画な伐採によりジャングルは枯渇、原住民はイギリスのゴム業者により奴隷として働かされました。
その結果、わずか11年の間におよそ3万人もの原住民が過労や怪我、病気により命を落としました。
ゴムの木の種子や苗木は、ブラジルからの輸出が禁止されていましたが、ある日イギリス人により大量に盗み出されました。
この木は、イギリスに密輸された内のひとつの種が苗木となったもの。その後マレーシアに持ち込まれました。
現存するのは国内に9本植えられた内、わずか2本で、これがその内の1本。
ブリティッシュマレーシアと呼ばれていた頃から残る、遺跡みたいなものですね。
ゴムの木を巡ってたくさんのインディオが苦しみの中で命を落とし、その屍の上でゴールドラッシュを目論んだ人がいます。
後にゴムの木の栽培がマレーシアの発展に寄与し、一方でブラジルの繁栄を終息へと向かわせました。
写真は地味ですが、この一本の老木を通して歴史の一部分を知ることができました。
このあと、二コラいわく
「イギリス人ってやつはお上品ぶってやることえげつない」
という偏っているようであながち間違いでもない意見を聞きながら、近くの食堂でお昼ごはん。
お腹が満たされたら、二つ目の目的地。
マレーシア一美しいと言われるモスクに行ってみます。
正直、イスタンブールやアブダビのグランドモスクを見たことがあるので、ちょっとやそっとの美しさでは感動できないだろうと、あまり興味をそそられませんでした。
でもせっかくイポーから1時間半もかけてここまで来たのだから、徒歩15分を面倒がる理由もない。
というわけで、早速出発。
途中でこんな可愛い壁画を見つけました。
けっこう本格的。色味もきれいです。
その隣も続くアート。右端の歩行者は壁画ではありません。
お決まりの壁画コラボ。チェンドル売りのおじさん。
この噴水の向こうにインフォメーションセンターがあります。モスクまでの道や図書館の開館時間などを伺いました。
噴水の反対側。だいたいこの辺りが中心部と言えます。
カンサー川は小さくて濁っていますが、ペラ川と繋がっています。
道路に何か所か案内標識がありますが、ここからは道なりなので迷うことは無いかと思います。
見えてきました。なんだかいい感じです。
庭木も手入れされています。MASJID UBUDIAN と書かれています (MASJIDはモスクの意味) 。
あまり角度がついていないので、背の低い私は気付きませんでした。
正面から。評判通り、とても綺麗です。ゴールドとモノトーンを基調としたゴージャスな雰囲気。
斜めから。
スタッフかな?と思ったらお祈りに来た人でした。
こうやってくつろげるのがモスクのいい所です。
人がほとんどいなかったので、おそるおそるといった感じで入ろうとすると、事務所から出てきた人に呼び止められ・・・二コラのズボンが短すぎるようです。
女性だけでなく、男性も膝が隠れる格好をしなくてはいけません。
長い羽織をお借りしました。
私も、ストールで髪を覆ったら肩が出てしまうので、一着貸していただくことに。
廊下はこんな感じ。ピカピカのツルツル。
一面に大理石が敷き詰められた豪華なエントランスホールです。
「これはイタリアの大理石だと思う」と二コラ (二コラはイタリア出身) 。
インドネシアのとあるモスクに、イタリアの大理石が使われていると明記されていたので、ここもそうなのかもしれません。お金かけてるなぁ・・・。
ここでもやはりくつろぐ人たちが。スタッフなのかな?
礼拝堂に入ってみます。素敵な絨毯がお出迎え。
柄も素敵。
やっぱり絨毯も上質のものを使っているんでしょうね。
感触が最高でした。ここで寝たら気持ちよさそう。
こちらが正面。小さな絨毯を敷き、礼拝を行います。
少し引きで。
ムアッジンという呼びかけ役の人が日に5回、この台からアザーンという礼拝の呼びかけを行います。
イスラム教徒の住む国へ行ったことがある人は、ここから聞こえる声を聞いたことがあると思います。テープではなく、肉声なんですよね。
時間になると拡声器でアザーンが行われ、それを聞いた市民が集い、礼拝します。
壁の方に仕切りが立っています。女性は仕切りの向こう側の狭いスペースで、男性とは別にお祈りしなくてはなりません。
天井も装飾が美しい。
シャンデリアを真下から撮ってみました。見とれるほどの美しさです。
コンセントの色も金ピカ。成金のお家みたい。
イスラム教でも八は吉数。八角形の装飾が窓にも。
静まり返る中庭。
礼拝堂の外もいい感じですね~。人がまったくいないのをいいことに、くまなく散策。
敷地内にWi-Fiも飛んでいます。接続していないのでスピードは分かりませんが、事務所にパスワードが貼ってあるので誰でも使えます。
また、飲み水用の温冷水が出るウォーターファウンテンもあるので、歩いて汗だくになってもここで水分補給できます。
美しい上に至れり尽くせり。
もっとくつろいでいたかったんですが、入口に訪問時間が書いてあったので急ぎ足で見て回って出てきました。
午前は9~12時、午後は3~4時と5時半~6時が訪問可能。金曜はイスラム教の休日なので閉館しています。
事務所のおじさんはすごく親切でした。
入ったのは11時48分でしたが、快く上着を貸してくれ、時間内に出ろみたいなことも言われませんでした。
帰り道に見たもの
コロニアル建築
博物館
入場料は4RMとお安い。でも内容がよく分からなかったので入らず。
博物館入口
何かの木の実。南国の植物って、日本では見られないものも多くて興味深い。
博物館の敷地の外から。可愛らしい建物です。
帰りにペラ川が見渡せる木陰で一休み。
大きな木陰です。日差しが刺すように強かったのでありがたかった。
向こう岸に行ってみたかったけど、橋が遠かったので断念。
モスクまで向かうときは曇っていたけど、帰り道は本当に日差しがキツかった。
ボートがたくさん。観光用のようです。
白いテント小屋から乗ることができます。
船のようす。すぐそばをオオトカゲが悠然と泳いでいました。
カンサー川の上にかかる橋。
カンサー川とペラ川の合流地点。
南国の花は強い日差しの下でも元気で、真っ青な空と白い雲に映えますね。
人間はこの暑さにバテたので冷たいものを摂取。
ちなみに右にいる家族は全員、熱々の麺料理とカキ氷を同時に頼んでいます。
マレーシアではよく見る光景。煮えたぎる鉄板料理とカキ氷を同時に注文。
カキ氷はもちろんデザートですが、頭がキンキンしそう・・・。
こちらも同じものを注文。ABCと呼ばれるもの (3RM) 。糖蜜かけすぎて甘ったるい。底の方に豆やピーナッツが仕込んであります。
色々見て満足したのでバスターミナルへ。
ここからKLIAまでの直行バスがあるようです。驚き。
行きのバスは機械式のチケットを手渡されましたが、帰りは係のおじさんのポーチに入っていたチケット。
係によるボッタクリが無いよう、路上に抜き打ち検査員が立っていたりするのでその点は安心です。
帰りに見たモスク。こちらは銅色ですがこれもきれい。クアラカンサーは交通量が少なくイポーよりかなりゆったりした雰囲気でした。
川沿いは風が気持ちよく、のんびりするにはもってこい。来て良かった。
でも安宿はあまりなさそうだったので、イポーから日帰りで遊びに来るくらいでいいかなと思いました。
何もない所で突然バスが停まり、慌てて降りていくチケット係のおじさん。見てみるとなんか買い物してる。おいおい仕事中だろ。
と思っていると、突然二コラが「ランブータン!」と小さく叫び、バスを降りていきました。
よく見てみると、ランブータンの路面販売でした。おじさんに便乗してランブータンを買う二コラ。
買ってきたランブータンを乗客にひとつあげています。なんかおもしろい。
マレーシアのこんないい加減なところがたまにイラっとするけど好きなところでもあります。
マレーシアに来て1ヶ月。ようやく見つけたランブータンに大喜びの私たち。
この人は東南アジア生活長いからこのテキトーさに完全に順応しています。
枝付きランブータン、1kg 5RMとマレーシアにしては格安。
ジューシーで甘味が強く、なかなかの高品質。バスドライバーが知るベストポイントでした。
ランブータンと一緒に売られていたという黄色いマンゴスチン。
買えばよかった~と言う二コラ。なんで買わなかったんだよバカ~と言う私。
食べてないのでわかりませんが、きっと美味しいのでしょう。
イポーに戻ってきました。
近日、この番号のバスに乗る予定なので路線図 (みたいなもの) を撮っておきます。
メダンキッドから市内方面に出る近道です。売店が並ぶ前を通り過ぎるとフェンスが少しだけ開いています。
お疲れ様でした!今夜のおやつは久々のランブータン (喜)!